現代のビジネスの場面では、NASは日々のデータを一元管理する、外部と共有するなどの役割を一手に引き受けている場合もあります。
このような重要な機器であるため、NASの突然の故障は大きな影響を伴います。
そこで重要となるのが、故障時の対応です。
焦って誤った対応をしてしまうと、データ復旧の可能性を自ら下げてしまうこともありえます。
この記事では、NASの故障が疑われるときにまず確認すべきポイントと、やるべき対応、そして日頃からの予防手段について解説します。
NASが故障したときにまず確認すべきこと3点
NASが故障したときにまず確認するべき点について、以下の3点に分けて解説します。
- 電源・LEDランプの表示で状態を確認する
- エラーメッセージやログを確認する
- 故障の種類を切り分ける(ディスク障害/本体故障/ネットワーク起因)
それぞれ具体的に見ていきましょう。
電源・LEDランプの表示で状態を確認する
NAS本体の電源ランプやHDDのステータスを示すLEDランプの色や点滅パターンは、NASの状態確認に役立ちます。
QNAP NASでは、正常時は緑色、異常時は赤色の点灯・点滅で異常を知らせます。
搭載しているHDDのLEDランプが赤色(異常)を示している場合は、ディスクの容量上限、冷却ファンの異常、RAIDでグレートモード、搭載しているディスクのどれかに読み書きエラーが発生しているなどの可能性があります。
電源ランプ自体が点灯しない場合は電源ユニットや本体側の異常の可能性があります。
QNAP NASのLED点灯と状態の対照については、公式Webサイト上の表や、使用しているNASモデルのマニュアルを参照してください。
システムステータスの確認 (LED およびアラームブザー) - QNAP
エラーメッセージやログを確認する
QNAP NASの管理画面であるQTSなどの画面にアクセスできる場合は、システムログやイベント通知を確認すると、エラーの発生をいち早く検知できます。
ディスク異常、RAID劣化、ファームウェアエラーなど、発生しているエラーの内容がそのまま記載されている場合が多く、また通知の内容はログにも記載されます。
自社で復旧を行う場合も、保守業者に相談する際にもログの内容は重要な判断材料となります。
なお、ログの保存は[コントロールパネル]-[QuLog Center]から「ログのエクスポート」を選択します。
CSV・HTMLファイルのいずれかでエクスポートが可能となるため、どちらの形式が保守業者にとって利用しやすいかなどを聞き取り、定期的にエクスポートするなど運用ルールを定めておくのがよいでしょう。
故障の種類を切り分ける(ディスク障害/本体故障/ネットワーク起因)
NASに異常が発生している場合、HDD自体の物理障害または論理障害なのか、NAS本体(マザーボードや電源)の物理的な故障なのか、あるいはLANケーブルなど、ネットワーク側の問題なのかを切り分けましょう。
ネットワーク機器やケーブルの交換だけで復旧するケースもあるため、いきなりNAS本体の故障と決めつけるのは避けるべき対応です。
NAS故障時にやるべき対応
NAS故障時にやるべき対応として、以下の点に分けて解説します。
- ①すぐに電源を切らない・むやみに再起動しない
- ②RAID構成の場合はディスクの状態を確認する
- ③バックアップの有無を確認し復旧方針を判断する
- ④自力対応の限界を見極め、専門業者に相談する
それぞれ具体的に見ていきましょう。
①すぐに電源を切らない・むやみに再起動しない
NASに異常が発生した場合、電源を無理やりオフにすること、安易に再起動したりすることは避けましょう。
パソコンの動作に不具合がある場合は、再起動で解消することもありますが、これはパソコンの動作不良がOSやアプリケーション由来のハングアップ・フリーズの場合に有効であるためです。
特にNASのディスクから異音がしている場合、電源をオフにして再びオンにすることでヘッドやプラッタへのダメージを進行させ、データ復旧の可能性を下げてしまう危険があります。
原因が特定できるまでは、電源操作を控えましょう。
②RAID構成の場合はディスクの状態を確認する
NASを使用する場合は、ほとんどがRAID構成を組んでいるでしょう。
RAID構成の場合は、1台のディスクに障害が発生しても、冗長性によって稼働を継続できることがあります。
ただし、それは「RAIDがあるからデータに問題がない」というわけではありません。
管理画面でどのディスクに異常が出ているかを確認し、複数台に同時に異常の兆候がないかもあわせてチェックしましょう。
RAID2などの場合は顕著ですが、安易にディスクを抜き差しすることで、RAID構成そのものが崩れてデータの一部が復旧不能となる場合があります。
③バックアップの有無を確認し復旧方針を判断する
NASの異常でもっともわかりやすい被害は、HDDに保存されているデータです。
そのため、NAS故障時は、バックアップの有無によって被害範囲が大きく変わります。
直近のバックアップが存在する場合は、そのバックアップからの復元を前提として対応を進めることができます。
一方、バックアップを取っていない、または、取っていても、取得から時間が経っている(古い)場合は、NAS本体からのデータ救出の優先度が上がるでしょう。
いずれの復旧方針が現実的かによって、故障発生時の復旧手順も変わります。
④自力対応の限界を見極め、専門業者に相談する
NASの異常が発生した場合、最終的には自社担当者など自力での復旧作業とするか、データ復旧の専門業者などに依頼するかを判断する必要があるでしょう。
単純なディスク容量上限や、RAIDの異常がありつつも起動できている状況であれば、自社担当者だけで保存されているデータを救出できる場合があるかもしれません。
一方で、致命的なシステムエラーやRAIDデグレードモードが発生している場合に誤ってデータを削除してしまうなど、担当者が判断を誤ると、データを完全に失場合もあります。
自社内での自力対応だけを無理に進めず、早めにデータ復旧の専門業者へ相談することも選択肢に入れておきましょう。
NAS故障を防ぐために日頃からやっておきたいこと
NASの故障を防ぐために日常的に行っておくべき対策について、以下のポイントに分けて解説します。
- 定期的なバックアップ運用を徹底する
- S.M.A.R.T.情報などでディスクの状態を監視する
- 保証・サポート体制を事前に確認しておく
それぞれ具体的に見ていきましょう。
定期的なバックアップ運用を徹底する
NAS本体が故障しても、保存されているデータのバックアップがあればデータを守れます。
重要なデータはNASだけで保管するのではなく、外付けストレージやクラウドサービスなど別の保存先にも定期的にバックアップを取得する運用を徹底しましょう。
また、バックアップ頻度についても検討しましょう。
いくらバックアップがあるといっても、そのバックアップが半年前や一年前のデータでは、バックアップとしての意味が薄れてしまう場合があります。
S.M.A.R.T.情報などでディスクの状態を監視する
多くのNASでは、HDD・SSDの健康状態を示すS.M.A.R.T.情報を確認できます。
ディスクは使用するごとに劣化します。
定期的にS.M.A.R.T.情報などを活用してディスクの状態をチェックし、異常な兆候が見られた場合は早めに交換をすることで、突然の故障やデータの喪失を未然に防げる可能性が高まります。
QNAPのNASでは、S.M.A.R.T.テストをスケジュール設定し、自動で行うことができます。
「ストレージ&スナップショット」から「ディスク/VJBOD」から、該当のディスクを選択し「健康状態」のタブにある「詳細を表示」をクリックします。
「設定」メニューの中にある「SMARTテストスケジュール」をオンにすると、簡易テストまたは完全テストを毎日/毎週/毎月など任意の頻度でスケジューリングできます。
HDDが完全な故障に至る前に検知できる可能性が高まるため、適切な頻度でテストをスケジューリングしておくと良いでしょう。
保証・サポート体制を事前に確認しておく
NAS本体やディスクの保証期間、メーカーサポートの窓口をあらかじめ把握しておくことも、日常的な故障対策として重要です。
定期的な保守や状態監視をしていても、突然の故障の可能性はゼロにはなりません。
故障が発生した際にスムーズに対応できるよう、購入時の保証書やサポート窓口の情報を整理しておきましょう。
まとめ
NASの故障は企業にとって業務に直結する重大なトラブルです。
しかし、実際に故障が発生した際に、慌てて誤った対応をとってしまうと、データ復旧の可能性そのものを下げてしまう危険性があります。
NASに異常が発生したら、まずNASの状態を落ち着いて確認し、むやみな電源操作を避けたうえで、バックアップの有無に応じた復旧方針を判断しましょう。
日頃からのバックアップとディスク監視も、被害を最小限に抑えるために重要な対策となります。
この記事を参考にして、日常的な対策と緊急時の対応について、社内で共有してみてください。
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