サーバーとは？種類や特徴、メリット・デメリットを詳しく解説

サーバーは、企業のITインフラの中枢として位置づけられます。

サーバーの適切な選定は、企業の適切なIT環境の構築、効率的な運用を実現するうえで欠かせません。

この記事では、サーバーを理解するための概要、サーバーの種類、各サーバーメーカーの特徴について詳しく解説します。

サーバーとは

サーバーとは、ネットワーク構築の中枢となる存在で、データ・コンテンツの提供を行うコンピューターのことです。

一般のパソコンなどが閲覧・編集などコンテンツの「利用」をする存在であるのに対して、サーバーは各パソコンがコンテンツを利用できるよう配信・保存するなどの役割を担います。

サーバーには役割によって様々な種類があります。例として、企業で設置されるサーバーには以下のような種類があります。

仮想サーバーと物理サーバーの違いを解説

サーバーの種類として「仮想サーバー」と「物理サーバー」があります。

この違いは、サーバー機器を物理的に設置するのが「物理サーバー」で、物理サーバーの中に論理的に設置するのが「仮想サーバー」です。

物理サーバーは、サーバー機器をサーバールームなどに設置するイメージが浮かびやすいでしょう。

一方で仮想サーバーはあまり触れる機会がないかもしれません。

仮想サーバーは、物理サーバーの中に仮想的に領域を作成し、その領域の中にサーバー用OS、ストレージを割り当て、サーバー機能をもたせる方法を指します。

仮想サーバーは、ストレージやRAMなどのリソースが許せば複数のサーバーをひとつの物理サーバー内に設置できます。

同じ物理サーバー内に存在しているものの、各仮想サーバーは独立したシステムとして稼働させられます。

仮想サーバーと物理サーバーのメリット・デメリットとは

仮想サーバーと物理サーバーは、どちらも企業で採用される例があります。

それぞれにメリット・デメリットがあり、利用するシーンによって使い分けるのがよい選択です。

• 仮想サーバーのメリット・デメリット
• 物理サーバーのメリット・デメリット

仮想サーバーのメリット・デメリット

仮想サーバーは、物理サーバーの中にサーバー用の領域を確保し、論理的にサーバーを設置する方法です。

つまり、物理サーバーの中に仮想マシンを設置する方法です。

このような方法で設置される仮想サーバーは、物理サーバーを設置する際の物理的なコストを抑制できるメリットがあります。

たとえば、機器の購入・リース料金や部品などの交換費用を削減できます。

また、サーバーを追加しても機器が増えるわけではないため、スペースが限られる場合にもサーバー数を増やせる点もメリットといえるでしょう。

さらに、物理的なリソース（CPU・メモリー・ストレージ）の許す限り、仮想サーバーの台数を増やす、割当を増やすなど柔軟性・拡張性に優れる点もメリットです。

一方、仮想マシンを使用した仮想サーバーは、物理的な障害が発生した場合に該当の物理サーバーに収容されている仮想サーバー群のすべてが影響を受けます。

つまり、1度の障害によって影響範囲が大きくなる点はデメリットです。

また、仮想サーバーは導入・運用に仮想化技術・仮想マシンについての知識や技術が必要となります。

物理サーバーと異なり、外からはサーバー内部の様子を確認できない点についても注意しなければなりません。

さらに、物理サーバー上に複数の仮想サーバーを展開する場合、リソース管理も重要となります。

収容している仮想サーバーのうちの1台が大量にリソースを消費した場合、他の仮想サーバーのパフォーマンスに影響を与える可能性がある点も意識しておくべきポイントです。

物理サーバーのメリット・デメリット

物理サーバーは、企業の導入するサーバーとしてベーシックな選択肢です。

サーバーの役割ごとに物理的な機器を用意し、必要に応じて台数を増やせます。

物理的な障害の際にも、部品を交換するだけで障害復旧までの時間を削減できる点や、部品の共有ができる点もメリットです。

また、物理サーバーは運用の歴史が長いため、技術情報も多数展開されている点も重要です。

担当者が物理サーバーの状態を外から確認できる点もメリットで、端子やケーブルの状態、LEDの表示などにより一目で問題が発生しているかを確認できます。

一方、物理的な設置を必要とする点はデメリットであるともいえます。

サーバーの増設やスペックアップの際にはハードウェア更改に係る費用が発生し、搬入・搬出の手間もあります。

また、サーバーの増設も配線・電気系統・導線の確保など物理的なマネージメントを必要とする点には注意が必要です。

仮想サーバーと異なり、基本的には1台のサーバーに対して限られた用途のみを担わせるため、リソースの利用効率が仮想サーバーと比較して低くなる可能性もあります。

サーバーの導入や運用支援を外部業者に委託している場合には、部品調達や物理的故障の際の保守範囲を定めた契約条項などにも注意を払う必要があるでしょう。

企業のデータ管理は物理サーバーがおすすめ

仮想サーバー・物理サーバーにはそれぞれメリット・デメリットがありますが、企業がデータ管理を行う際には物理サーバーの選定がおすすめです。

仮想サーバーのメリットは、物理リソースを柔軟に分割し、複数のサーバーを同居させられる点、特定のOSやアプリケーションに最適化された環境を構築できる点です。

認証サーバーやメールサーバー、負荷の低い業務システムなど、リソース要件が限定的で、柔軟な構成が求められる場合に適しています。

しかし、企業のデータ管理サーバーを単に大容量のファイルを保存・共有するという目的で運用する場合は、これらの仮想サーバーのメリットが必ずしも活かせるとは限りません。

データ管理サーバーは直接データの読み書きを行う頻度が高いため、安定した動作と信頼性が重要となります。

物理サーバーであれば、仮想化によるオーバーヘッドを避け、搭載しているリソースのすべてをデータ管理に最大限に活用できるだけでなく、ハードウェアレベルでの安定性が期待できます。

また、データ管理の要件に合わせてストレージ構成を最適化しやすいという点も特徴です。

仮想サーバーにも冗長化など安定性確保の方法はあります。

しかし、データ管理サーバーとして物理サーバーを設置することで、リソースを専有し、より安定した環境を構築できるでしょう。

物理サーバーのおすすめメーカー3選

• Dell
• HP
• Supermicro

Dell

Dell（デル・テクノロジーズ）のサーバーは、企業向けに多様な「PowerEdge」と呼ばれるサーバー製品群を展開しています。企業規模や想定負荷に合わせた選択肢があり、タワー型からラック型、モジュラー型までカバーします。CPU、メモリー、ストレージ、RAID構成などを細かくカスタマイズできる点が大きな魅力です。

HP

HP（ヒューレット・パッカード）の「HPE ProLiant」シリーズは、システムファームウェアでの改ざん検知・復旧機能「Silicon Root of Trust」を備え、ファームウェアレベルでのセキュリティ信頼性を確保しています。改ざん検知後もオンライン復旧が可能なサービスを提供し、特にセキュリティ重視の企業に最適です。

Supermicro

Supermicro（Super Micro Computer, Inc.）は、AI・ディープラーニング向けのマルチGPU対応サーバーと、カスタマイズ性の高い汎用サーバーを展開しています。フォームファクターやコンポーネントを細かく選択できるため、オーバースペックを避けつつ最適な構成を組める点が強みです。

まとめ

本記事では、サーバーの概要、仮想サーバーと物理サーバーの違い、それぞれのメリット・デメリット、そして主な物理サーバーメーカーの特徴を解説しました。サーバー選定はコストとパフォーマンスのバランスが重要です。自社の要件に最適な構成を見極め、信頼性の高いIT環境を構築しましょう。