【IT管理者向け】Ultrastar搭載で得られるサーバー安定稼働の裏側
公開日: 更新日:2025.10.24 閲覧数 106 (月間2)

こんにちは、テックウインド株式会社メディアチームです。

IT管理者にとって、自社の保有するサーバーを安定稼働させることは非常に重要な課題です。

特に、大規模な業務システムやデータセンターなどでは、搭載している機器・HDD・部品の正常稼働が前提となっており、万が一障害が発生すると影響範囲が非常に大きくなります。

機器の障害による損失や悪影響を避けるためには、もちろん日常的な保守や状態監視が欠かせませんが、高負荷な環境でも安定して長時間・長期間稼働させられることを前提とした機器を導入することもまた、リスク回避には有効な手段です。

この記事では、Western Digitalが販売するエンタープライズ向けストレージ「Ultrastar」の特徴と、IT管理者が導入に向けて検討する際に参考となる情報について解説します。

目次

WD Ultrastarとは

WD Ultrastarは、Western Digital社が展開するHDDブランドのひとつです。

しかし、一般ユーザー向けに展開されている「Blue」や「Black」などのブランドとは、製品のコンセプトが異なります。

データセンターやクラウドサービス事業者などの大規模事業者の要求に応えるストレージ製品として展開されています。

容量面においても、一般ユーザーが利用する容量を大きく上回る大きく上回る容量(2025年10月1日時点で日本国内で流通している製品の最大容量は26TB)を備えており、インターフェースにも個人向けパソコンで採用されるSATA以外に、SASを導入するなど、多様なサーバー環境で利用できる設計となっています。

参考:【24時間稼働に耐える】Ultrastarが選ばれる理由5選

Ultrastarの活用で得られるサーバー安定稼働

ここからは、データセンターやクラウド事業者などでUltrastarを導入した際に期待されるサーバーの安定性について、下記の観点から解説します。

  • Ultrastarの設計思想・コンセプト
  • Ultrastarの振動耐性・耐久性
  • UltrastarのMTBF
  • 他のHDDと比較したUltrastarの独自テクノロジー

それぞれ具体的に見ていきましょう。

Ultrastarの設計思想・コンセプト

Ultrastarの設計思想やコンセプトを理解するための前提として、まず重要であるのは、単なる大容量・高性能HDDではなく、長期間の高負荷運用における安定稼働を実現したHDDとして設計されているという点です。

Ultrastarは高い性能だけを追求しているわけではなく、高信頼性・高耐久性・低電力・低故障率など、万が一のシステム全体への悪影響を最小化することを目的としている製品です。

一般ユーザーが使用するパソコンやNASなどでも、長時間の利用や一時的な高負荷の状況はあり得ますが、データセンターやクラウドサービスの提供によるHDDへの負荷、24時間・365日稼働を前提としたストレージ環境とは、負荷の高さが桁違いです。

過酷な環境にあっても高い耐久性でサービスの継続提供を担保することがUltrastarの役割です。

Ultrastarの振動耐性・耐久性

一般にサーバールームやデータセンターは、サーバーやコンピュータのみが設置された環境であり、振動などとは無縁に思われるかもしれません。

ビジネス用コンピュータなどでは落下耐性試験などを課す場合もありますが、データセンターで使用するHDDに振動耐性を求めるイメージが湧きづらい方もいるでしょう。

しかし、非常に多数のHDDが高密度に配置されたデータセンターにおいては、HDDの回転振動や、外部からの微細な振動・衝撃が読み書き精度に大きな影響を与えます。

Ultrastarは高い振動耐性を確保するため、RVS(Rotational Vibration Safeguard)と呼ばれる技術を搭載しています。

この技術により、高振動環境においてもドライブを監視し、線形振動・回転振動を補正することで高いパフォーマンスを提供します。

また、粗動と微動を組み合わせて高精度にヘッド位置を調整する「デュアルステージアクチュエータテクノロジー」や、内部の摩擦・乱流を抑制するヘリウム封入構造(HelioSealテクノロジー)もまた、高信頼性と過酷な環境での高パフォーマンスを実現する独特なテクノロジーです。

UltrastarのMTBF

MTBF(平均故障間隔)については、製品の信頼性における客観的指標としてよく用いられます。

高信頼性・高耐久性をうたうUltrastarのMTBFは、250万時間という極めて長いMTBFの数値を掲げています。

一般ユーザー向けHDD製品では、100万時間程度の製品もある中、Ultrastarの250万時間は十分にエンタープライズ用途としての信頼性を担保できる数字であるといえます。

もちろん、MTBFは250万時間を経過しなければ壊れないという意味ではありませんが、設計上の耐久性が高い点は、IT担当者にとっても安心材料といえるでしょう。

他のHDDと比較したUltrastarの独自テクノロジー

Ultrastarはエンタープライズ用途向けHDDとして展開されており、ここまで解説した内容の中にも、RVSやヘリウム封入構造、デュアルステージアクチュエータテクノロジーなど、独自テクノロジーが随所に用いられていることがわかります。

この他にも、Western Digital独自のテクノロジーとして、ドライブにフラッシュを組み込み制御を最適化する「OptiNANDテクノロジー」や、年間ワークロード許容量が一部モデルで最大550TBに耐えられる設計など、常時稼働を前提とした、ミッションクリティカルな製品として設計されています。

耐久性や信頼性のみならず、消費電力削減や冷却負荷の軽減についても、1Wあたりのテラバイト効率を高める省電力設計など、サーバー全体での安定性向上を実現するテクノロジーが活用されています。

まとめ

Ultrastarシリーズは、設計思想から独自技術の導入、安定性に至るまで、エンタープライズ用途を徹底的に追求している製品であると評価できます。

IT管理者としては、自社データセンターやクラウドサービス提供にあたり、信頼性が高く、安心感が持てるストレージ製品を導入したいと願うのが自然です。

Ultrastarの持つあらゆる特徴、そして客観的な信頼性に関する情報は、エンタープライズ用途のために設計されていることを示していると評価できるでしょう。

サーバー・データセンターの安定稼働を目指すIT管理者にとって、検討する価値の極めて高い製品であるといえます。

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