こんにちは、テックウインド株式会社メディアチームです。
Western Digital社製の製品にはさまざまなバリエーションの製品があります。
そのうち、個人のパソコン向けとは異なる用途を対象として展開されている「WD Red Plus」と「Ultrastar」と呼ばれる製品があります。
この両製品は、どのような特徴を持つストレージなのでしょうか。
この記事では、「WD Red Plus」と「Ultrastar」について、製品のターゲットや仕様に基づき、それぞれの特徴を比較します。
目次
WD Red Plusとは
Western Digital社のHDD・SSDは、個人・法人に関わらず多くのユーザーに支持され、活用されています。
Western Digital製HDD・SSDには、「Blue」や「Black」など、色分けされた製品シリーズがあります。この色分けは、用途や特徴に違いがあります。
WD Redシリーズは、ネットワーク接続ストレージ(NAS)での活用を想定した製品です。
そのため、長時間稼働でもトラブルが発生しにくい、省電力・発熱抑制設計がされているなどの特徴があります。
参考:楽天市場 | TEKWIND SHOP - WD製SSD Redシリーズの魅力は?商品ごとの特徴やおすすめな人の特徴を紹介
さらに、Red PlusはRedシリーズの派生として、中規模NASシステムに最適化された設計の製品です。
具体的には、8ベイまでのNASシステムに最適化されており、ノイズや振動から保護する「回転振動(RV)センサー」、読み書き機能を調節することでデータを保護する技術などが採用されています。
Ultrastarとは
Western Digital社の「Ultrastar」は、エンタープライズ向けとして展開されているストレージ製品です。
最大26TBという大容量・高密度設計により、限られたスペースでも大容量のストレージ環境を構築できます。
また、データセンター向け製品として開発されたという経緯もあり、内部抵抗をヘリウム充填により低減し、省電力を実現する「HelioSeal技術」が採用されています。
特に法人で使用されるHDDやSSDなどのストレージ製品において重要な指標となるMTBF(平均故障間隔)が長く、高い信頼性と安定稼働が求められるビジネス環境での使用に耐えうる製品として展開されています。
WD Red PlusとUltrastarの比較
WD Red PlusとUltrastarは、いずれもプライベート用途よりは法人・エンタープライズ用途としての活用を想定しているという特徴があります。
では、それぞれの製品についてどのような違いがあるのでしょうか。
- 利用シーンの比較
- フォーマット方式の比較
- インターフェースの比較
- 耐久性の比較
- キャッシュとパフォーマンス
- 項目ごとの比較表
それぞれ具体的に見ていきましょう。
利用シーンの比較
WD Red PlusとUltrastarは、いずれも「エンタープライズ向け」という文言で販売されていますが、その内容には若干の違いがあります。
WD Red Plusは8ベイNASでの利用に最適化されていることからもわかるように、一般的なオフィス用途・小〜中規模の企業での利用が主なターゲットです。
一方、Ultrastarは最大26TBという大容量設計からもわかるように、データセンターなどの大規模データインフラストラクチャーでの利用を想定しています。
フォーマット方式の比較
WD Red Plusは、512eと呼ばれるフォーマットに対応しています。この形式は、物理的には4096バイト、論理セクターサイズは512バイトのセクターサイズをエミュレーションするというものです。
記録効率を向上させるための4Kセクタと、互換性を確保するための512バイトセクタを利用するという方法です。
一方Ultrastarは「4Kn(4Kネイティブ)フォーマット」に対応しています。
4Kネイティブのフォーマットとは、セクターサイズが物理的・論理的いずれも4096バイトであることを指します。
エミュレーションではなくネイティブに4Kのデータ処理が行われるため、より高いパフォーマンスが期待できます。
インターフェースの比較
インターフェースについては、WD Red Plusはストレージのインターフェースとして採用例の多いSATAを採用しています。
UltrastarはSATAに加えて、12Gb/sのSASモデルも展開しています。このため、より大容量・同時転送のデータ通信にも対応できるインターフェースを採用しているといえます。
耐久性の比較
特にエンタープライズ用途でのHDDの耐久性指標として、MTBF(平均故障間隔)が参考とされます。
WD Red PlusのMTBFは最大100万時間、Ultrastarではさらに長い200万~250万時間を実現しています(モデルにより異なる)。
ストレージの耐久性はMTBFなどの指標以外にも、耐久性を高めるためのテクノロジー・構造なども合わせて考えるとよいでしょう。
キャッシュとパフォーマンス
WD Red Plusは196~215MB/sの最大転送速度(容量により異なる)、256~512MBのキャッシュサイズです。
一方Ultrastarでは、184~267MB/sの最大転送速度(容量により異なる)、256MBのキャッシュサイズです。
RPMについては、WD Red Plusの8TB以上のモデルが7200、6TB以下のモデルが5400~5700と、高速ドライブから低消費電力・低発熱のモデルまで揃っています。
UltrastarのRPMは7200の高速ドライブモデルが展開されています。
項目ごとの比較表
| 比較項目 | WD Red Plus | Ultrastar |
|---|---|---|
| 利用シーン | 個人・小規模~中規模・ホームオフィス | データセンターなど大規模エンタープライズ用途 |
| フォーマット方式 | 512e | 4Kn(4Kネイティブ) |
| インターフェース | SATA | SATA・SAS |
| 耐久性 | 最大100万時間(MTBF) | 最大200~250万時間(MTBF) |
| キャッシュ・パフォーマンス | 256~512MBキャッシュ 196~251MB/s転送速度 | 256MBキャッシュ 184~267MB/s転送速度 |
用途に合わせた選択が重要
WD Red PlusとUltrastarは、いずれもエンタープライズ用途に耐える特徴を持った製品です。
しかし細かくターゲットや仕様を確認すると、WD Red Plusは小規模オフィスやプライベートでの大容量NAS、Ultrastarはデータセンターなど、より大規模なストレージインフラストラクチャーでの利用に向いていることがわかります。
こうした特徴を踏まえ、用途に合わせた製品の選択をすることが重要といえるでしょう。
まとめ
この記事では、Western Digitalの「WD Red Plus」と「Ultrastar」の2つの製品について、様々な仕様やターゲットなどの違いを解説しました。
ストレージ製品は用途に合わせてモデルを選択することが重要であり、WD Red PlusとUltrastarについても同様です。
どちらも高信頼性・連続稼働向けのストレージとして作られた両製品の選定に迷った際には、この記事で解説した内容を参考にしてみてください。
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