こんにちは、テックウインド株式会社メディアチームです。
Western Digital製HDDの「WD Red Plus」と「Ultrastar」は、法人・企業での採用例が多いHDD製品です。
HDDには様々な用途がありますが、WD Red PlusとUltrastarは単純にパソコン用HDDや外付けHDDとして使われる製品ではなく、RAIDを構築して統合されたストレージとして活用するのが一般的です。
この記事では、各RAIDレベルについての概要と、WD Red Plus・Ultrastarの各RAIDレベルでの活用例について解説します。
目次
RAIDとRAIDレベル
RAIDは、複数のHDD・SSDなどのストレージを束ねて、ひとつの大きなストレージとして活用するための技術です。RAIDには構築方法によって「レベル」があり、それぞれに特徴があります。
- RAID1
- RAID5
- RAID6
- RAID10
RAIDの各レベルの特徴について、それぞれ具体的に見ていきましょう。
RAID1
RAID1は、企業・個人を問わず広く利用されるRAIDレベルのひとつです。RAID1は、2台以上のストレージに同じデータを複製して書き込み、片方のストレージに障害が発生した場合でもデータ消失の危険性を軽減することを目的として採用されるRAIDレベルです。
2台のストレージに同じデータを書き込む特徴から、RAID1は「ミラーリング」とも呼ばれています。
耐障害性が高まる一方、同じデータを2つのストレージに書き込むという仕様上、データの保存ができる容量はストレージ1つ分になる(ストレージコストが高い)というデメリットがあります。
RAID5
RAID5は、各データをブロック単位に分け、各ブロックを3台以上のストレージに分散して書き込んだうえ、1つのストレージにはブロック単位のパリティ(誤り訂正符号)を書き込む方法です。
パリティの仕組みは、データ転送時にパリティビットと呼ばれるデータを添えて送信し、受信側ではパリティが含まれるデータのデータの1・0の数量から偶数・奇数を判別し、データの正当性を認識するという方法です。
パリティを用いた送信データの正確性確保は、100%データの損失を防げるものではありませんが、送信・受信時のノイズなどを低減する効果があります。
3台以上のストレージを搭載できるデバイスでは採用例の多いRAIDレベルです。
RAID6
RAID6は、RAID5よりもさらに耐障害性を高めたRAIDレベルです。RAID5でも使用されているパリティを二重に書き込み、さらにデータを複数のストレージに分散して格納するため、RAID5よりもさらに高い耐障害性を確保できます。
また、格納先のストレージが多くなればなるほど、複数のストレージに分散してデータを書き込むため、高速な書き込みが実現できます。
ただし、あまりにも多くのストレージに分散する場合は、パリティ計算の処理が大きくなり、かえって書き込み速度が低下してしまう場合もあります。
RAID10
RAID10は、正確には「RAID1+0」と表記されます。RAID1とRAID0を組み合わせたRAID構成です。
RAID1については、この記事でミラーリングとして解説しました。RAID0は「ストライピング」と呼ばれるRAID構成で、複数のストレージにデータを分散して書き込む方法で、主にストレージ領域の大領域化・高速化を目的として構築されます。
RAID10は、RAID0の高速化を実現しつつ、RAID1の耐障害性を両立しようという構成です。
ただし、同一の内容を2つのストレージに格納するというRAID1の特徴により、利用可能な容量は、総ストレージ容量の半分となります。
また、RAID5やRAID6のようなパリティ書き込みの処理は行われません。
WD Red PlusとUltrastarの特徴
RAIDは、複数のストレージ・ディスクを使用する法人・企業において採用例が多い技術ですが、その用途は主にパソコンではなく、NASやファイルサーバー、各種業務システム用ストレージなどです。
Western DigitalのWD Red Plusは、Western DigitalのHDDシリーズの中でもNASやファイルサーバー向きの製品であり、長期間の稼働における安定性・信頼性の高いモデルです。
NASやファイルサーバーで、搭載した複数のディスクをそれぞれ独立のディスクとして使用するという運用は稀で、RAIDを構築して使用することが一般的であるため、Red PlusもRAID前提の製品として展開されています。
また、UltrastarはRed Plusよりもさらに大規模なストレージシステムを構築するエンタープライズ用途での利用を想定した製品です。
そのため、Ultrastarもまた単一のディスクとしての利用ではなく、RAID構築を前提としたHDD製品です。
WD Red PlusとUltrastarの各RAIDレベルでの活用例
ここからは、WD Red Plus・Ultrastarを活用する際の、各RAIDレベルでの活用例について解説します。
- RAID 1の活用例
- RAID 5の活用例
- RAID 6の活用例
- RAID 10の活用例
それぞれ具体的に見ていきましょう。
RAID 1の活用例
RAID1は、個人用途のNASなどでも活用できるRAIDレベルです。RAIDの中ではほぼ最小の2台のHDDで構築できることもあり、導入しやすいRAIDであるという特徴もあります。
WD Red PlusでのRAID1の活用方法としては、小規模事業者・SOHOなどの場合で、ディスク搭載台数の少ないNASなどでの活用が考えられるでしょう。
Ultrastarも同様に、ディスク搭載台数の少ないファイルサーバーやバックアップサーバーなどでの活用も考えられますが、他にも、独自クラウドストレージ用のディスクなど、アクセス頻度・負荷が高い環境での使用に適しています。
RAID 5の活用例
RAID5は、RAID1よりも耐障害性を重視したストレージでの使用に適しています。
そのため、まずWD Red Plusでは、同じNASでの利用でもファイルサーバー用途以外に、バックアップサーバー・アーカイブ用サーバーなどでの用途に向いています。
大切なバックアップデータ・アーカイブデータを失わないようにしたい場合に適しているでしょう。
Ultrastarは高負荷のワークロードに耐える設計となっていますが、RAID5を活用することでさらに信頼性の高いストレージとして活用できます。
WD Red Plusと同様にバックアップサーバーなどとして活用することもできますが、他にも動画・リッチコンテンツを保存・配信するメディアサーバーとしての活用や、限定的なデータセンターなどでの活用も考えられるでしょう。
RAID 6の活用例
RAID6は、RAID5よりも多くのディスクを必要としますが、さらに信頼性と高速性を実現できるRAIDレベルです。
そのため、信頼性と高速性を実現できる環境でその真価を発揮します。
WD Red Plus・Ultrastarでは、高頻度のアクセスや高負荷が想定されるサーバー・NASでの活用がメインとなるでしょう。
NAS自体の能力にもよりますが、大規模データセンターやAI構築・ビッグデータ解析などでの高QoSを確保する事例などで活用できるでしょう。
RAID 10の活用例
RAID10は、ミラーリングとストライピングを合わせたRAIDレベルです。最小のストレージ台数で構築できることから、小規模ストレージ向けと思われがちですが、実は大規模ストレージ環境やエンタープライズ用途でも多数の採用例があります。
WD Red PlusやUltrastarも、RAID10で採用される例は少なくありません。
高速性能と冗長性を並列できるRAID10は、RAID6での使用例にもあるように、AI構築やビッグデータ解析など、本格的なエンタープライズ用途での活用が想定できます。
ただし、大規模エンタープライズ用途での採用は、アクセス負荷だけでなく排熱や大容量化などの点にも注意する必要があります。
負荷・アクセス頻度・排熱などの要素を合わせて考えると、構築するシステム・ストレージ環境の規模に応じて検討するのがよいでしょう。
まとめ
この記事では、WD Red PlusとUltrastarにおけるRAID構築についての活用例を解説しました。
WD Red PlusとUltrastarは、いずれも法人や企業などでの高信頼性を確保したストレージ環境での使用を想定した製品です。
しかし、製品そのものの性質だけではなく、RAIDを構築して使用することで、さらに信頼性・高QoSを実現できます。
WD Red PlusやUltrastarでのストレージ環境構築を検討している方は、この記事を参考にしてみてください。
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