パソコンが起動しない場合の確認方法
一口に「起動しない」と言っても原因は様々です。
パソコンは多くのパーツによって構成されており、それぞれのパーツでさまざまな問題が発生する可能性があります。 また、それぞれのパーツは単独では動作しないため、必ず他のパーツが動作確認のため必要になります。原因の確認を 行う上でこうした点も切り分けを困難にする要因の一つです。
ただ、ある程度の確認作業を行う事で、原因となっているパーツをかなり絞り込める事例も多く存在します。 本文章では状況に応じた一般的な確認作業を具体的にご案内させて頂き、お手元でお試し頂くことにより原因の切り分 けの一助としていただくことを目的としています。
ご注意: 本文章は弊社サポート対象製品となっておりますASUS製マザーボードを対象として記述しております。 ベアボーン製品・他社製品の場合には適用頂けないこともございますのでご注意下さい。
Q-LEDの実装されたマザーボード製品をご利用の場合には、本解説と合わせて下記のページもご確認ください。
Q-LEDが点灯したままPCが起動しない
http://www.tekwind.co.jp/faq/entry_95.php
パソコンが起動しない場合の状況別確認方法
用語解説
電源が入る
電源は入る、とはパソコンの電源ボタンを押し、各種冷却ファンが回転し、ハードディスクや光学ドライブなどに通電している状態を指して表現しています。
緑色のLED
電源ユニットはコンセントに接続した状態で、電源が入っていない状態でもスタンバイ・サスペンド用の5Vのみ給 電する仕組みとなっています。この5Vが給電されている場合、マザーボード上の緑色のLEDが点灯します。 LEDは正式名称でStandby Power LEDといい、マザーボード上では”SB_PWR”という名称で設けられていることがほ とんどです。マザーボードによっては光る電源スイッチを設けている機種もあり、その場合にはそちらのスイッチ の光りかたで確認することができます。【関連FAQ(Q1)参照】
下記の状況・手順は一般的な確認方法になります。 状況によって大きく異なりますので不明な点があれは弊社サポート窓口までお問い合わせ下さい。
【Case1】:マザーボード上の緑色のLEDがつかないか点滅している。
原因として可能性が高いと思われるパーツ・事項
電源ユニット・マザーボード・組み立て不良・ケーブリング不良
ATX仕様の電源はスタンバイ・サスペンド用の5Vを常時給電する仕組みになっています。
このため、LEDが正しく点灯しない場合には電源ユニットの不良がまず第一に考えられます。
状況確認手順
- 電源ユニットとマザーボードのみの状態にします。
↓ - この状態で電源ユニットに通電させ、マザーボード上の緑色のLEDが点灯するか確認してください。点灯するようであれば、電源ユニットとマザーボード以外の問題である可能性がございます。一つ一つパーツを追加し、点灯確認をすることで原因となっているパーツの特定を行って下さい。
↓ - 正しく連続点灯しない場合にはマザーボード・電源ユニットをケースから外し、組み込まない状態での確認を行って下さい。これによって点灯する場合には、ケースへのとりつけ不良や、マザーボード背面でのケースへの短絡が要因として考えられます。
↓ - 点灯しない場合には電源ユニットかマザーボードのいずれかの問題である可能性が高いと判断できます。これ以上の切り分けは他の電源ユニット、もしくは他のマザーボードが無ければ行えません。
↓ - お手元に電源ユニットの予備があれば、そちらに交換することで改善されるか確認を行って下さい。改善されるようであれば電源ユニットの問題である可能性が高いと判断出来ます。改善されないようであればマザーボードの問題である可能性が高いと判断できます。【関連FAQ(Q1)参照】
【Case2】:マザーボード上の緑色のLEDは点灯している。
原因として可能性が高いと思われるパーツ・事項
電源ユニット・マザーボード・組み立て不良・ケーブリング不良
電源ユニットの問題としては故障や短絡などにより保護回路が作動している可能性が考えられます。
その他、マザーボード・電源スイッチ・ケーブルの接続といった部分の不良が考えられます。
状況確認手順
- 電源ユニットとマザーボード、CPUのみの状態にします。その他のパーツは一切不要です。メモリ・グラフィックカード・ハードディスク・光学ドライブ・USBデバイス類・PCIカード類などは全て外して下さい。この状態で電源が入るか確認を行って下さい。その際、通電確認のため、FANなど通電しているかどうか確認できるパーツを接続頂くことをお勧めします。
↓ - 電源が入るようになった場合には電源ユニット・マザーボード・CPU以外の問題が考えられます。一つ一つパーツを追加し、どの時点で電源が入らなくなるか確認することで原因となっているパーツの特定が可能です。
↓ - 電源が入らない場合にはマザーボード・電源ユニット・CPUをPCケースから外し、組み込まない状態での確認を行って下さい。これによって電源が入るようになった場合には、ケースへのとりつけ不良や、マザーボード背面でのケースへの短絡が要因として考えられます。
↓ - 電源ケースに組み込まない状態でも電源が入らない場合には、電源ユニット・マザーボード・CPUのいずれかの問題である可能性が高いと判断できます。これ以上の切り分けは他の電源ユニット、CPU、もしくは他のマザーボードが無ければ行えません。
↓ - お手元に電源ユニットやCPUの予備があれば、そちらに交換することで改善されるか確認を行って下さい。改善されるようであれば電源ユニットやCPUの問題である可能性が高いと判断出来ます。
【関連FAQ(Q2)】
改善されないようであればマザーボードの問題である可能性が高いと判断できます。
【Case3】:電源は入るが、数秒から数十秒で電源が切れる。
原因として可能性が高いと思われるパーツ・事項
電源ユニット・CPUの過熱・マザーボード
いくつかの要因が考えられる現象です。 確認が容易であることから、CPUの過熱が原因であるかどうか確認することからまず始めることをお勧めします。
マザーボードにはCPUが過熱することで発煙・発火などの問題が発生しないようCPUが過熱した場合には電源を強制的に切る機能を持っています。このため、CPU FANの取り付けが不完全である場合、例えばFANが外れてしまっている場合や斜めに取り付けられてしまっている場合・CPU FANの故障でFANが回転していない場合には電源が切れる現象が発生します。
電源ユニットが原因で発生する場合もあります。
短絡や過電流によって電源ユニットの保護回路が作動し、電源供給が遮断されることや、給電不良・不安定といった要因です。
マザーボード側の要因でも発生することがあります。
例えば静電気で素子が破壊されてしまった場合などです。
状況確認手順
- CPUの確認に関しては、CPUFANを一度取り外し、グリスのつけ直しを行うなどして再取り付けを行います。電源投入後、FANが回転しているかを確認します。改善されない場合、これ以上の切り分けはお手元に予備のパーツが必要になります。
- ↓
- お手元に予備の電源ユニットがあれば、そちらに変更しての確認をお試し下さい。改善されない場合にはマザーボードの問題である可能性が高いと判断できます。
【Case4】:電源が入った後、数秒で電源が切れる、そしてまた電源が入るを繰り返す。
原因として可能性が高いと思われるパーツ・事項
マザーボードのBIOSバージョンが古い・電源ユニット・マザーボード
ご利用のCPUが新しく、お手元のマザーボード側のBIOSでは対応出来ない場合に発生することが多い現象です。
状況確認手順
確認のため、お手元に他のパーツが必要になります。
- お手元にあればで結構です。他の型番のCPU、可能であれば発売時期が古いCPUをご用意頂き、動作するかどうかをご確認下さい。 発売時期が早いCPUは比較的初期のBIOSからサポートしていることが多いため、BIOSのバージョンにより改善する問題であるか、確認することが出来るためです。【関連FAQ(Q4)】
↓ - 他のCPUで動作するようであれば、BIOSのUpdateを行い、その上で元のCPUに戻し、動作が改善されるかどうかをお試し下さい。
↓ - お手元に他のCPUが無く確認が難しい場合、および他のCPUでも改善されない場合にはBIOSバージョンの問題に関する検証をお手元で これ以上行うことは困難です。
↓ - 必要であれば、引き続き電源ユニットの確認を行って下さい。電源ユニットが問題であるかどうかの確認方法としては、お手元に用 意があれば他の電源ユニットでの確認が有効です。
↓ - いずれの方法でも改善されない場合には、マザーボード側の問題かどうか確認する必要があるものと思われます。
【Case5】:電源は入るが画面に何も表示されず、BEEP音も鳴らない。
原因として可能性が高いと思われるパーツ・事項
CPUが動作していない・マザーボード・電源ユニット・CPU
マザーボードは起動時、まず始めにBIOSの処理から開始します。
BIOSはマザーボードに格納されたソフトウェアの一種で、デバイスの初期化やチェックなど、ハードウェアの動作をサポートし、同時にBIOSのセットアップ画面などの機能を提供します。パソコンが起動し、Windowsのロゴ画面が表示されるまでの処理・表示はBIOSが行っています。
仮にデバイスが存在しない場合など、正しく起動出来ないと判断される場合には、BIOSがBEEP音で異常を知らせる仕組みです。画面が表示されず、BEEP音も鳴らないという場合にはBIOSが正しく動作していないということです。BIOSがソフトウェアである以上、CPUが動作していなければBIOSも動作しません。このため、画面が表示されない場合の確認手順としてはCPUが動作していない場合の要因の切り分けを行って頂く流れとなります。
状況確認手順
- パソコンケースのBEEPスピーカーがマザーボードに正しく接続されているか確認して下さい。
大半のマザーボードはBEEPスピーカーを備えていないため、別途BEEPスピーカーの接続が必要です。
↓ - BEEPスピーカーの接続が問題無い場合には、次にCPUをソケットから外し、ソケットのピン折れや曲がりが無いか確認します。AMD 製CPUなど、CPU側にピンがある場合はCPU側のピンを同様に確認します。
↓ - 24pinの電源ケーブルおよび4pinもしくは8pinの電源ケーブルがマザーボードに正しく接続されているかも確認します。
↓ - 問題がなければCPUをソケットに取り付け直し、再度起動を試みて下さい。
↓ - 起動しない場合には電源ユニットの動作確認をお勧めします。
【Case6】:BEEP音が鳴っている。
原因として可能性が高いと思われるパーツ・事項
メモリモジュール・グラフィックカード
BIOSは起動時に必須となる各種デバイスが接続されているか確認を行います。
具体的にはメモリやグラフィックカードです。これらが存在しない場合にはBEEP音でエラーを通知します。このため、起動せず、かつBEEP音が鳴る場合にはこれらのパーツの確認が必要です。
状況確認手順
- グラフィックカード・メモリを一旦抜き差しし、確認をする
↓ - 改善しない場合、メモリについては複数接続している場合、そのうちの1枚のみ接続し、確認する。状況が改善しない場合には、他方の1枚のみでの接続を試みる
↓ - 同様に、メモリモジュールの接続変更では改善されない場合、お手元にあれば他のグラフィックカードでの確認を行う。
↓ - BEEP音が短音の1回のみの場合には、BIOS側が正常に動作していると判断している可能性があるため、グラフィックカードの問題・グラフィックカードとモニタの接続不良が懸念される。このため、ケーブルの接続先の変更・ケーブルの変更を行う。
よくある質問
- Q1.マザーボード上の緑色のLEDが点灯しているので電源ユニットの電源供給には問題が無いように思うのですが。
- このLEDは5Vの給電の有無のみを見ていますので、5Vの給電品質が問題無いかどうか、あるいは12Vなど他の主要な電源系統に問題が無いかということは、このLEDではわかりません。点灯している場合でも電源ユニットに問題がある、あるいは故障している可能性はあります。
- Q2 電源ユニットに問題があるようなので交換しようと考えています。これから買うつもりですが、どのような電源ユニットがお勧めでしょうか?
- 原因の切り分けを目的とした購入の場合、特に不良が疑われる電源ユニットが他のパソコンで正常に動作するような場合には相性問題も懸念されます。このため、そのような場合には現在お持ちの電源ユニットのメーカー様以外の製品をお勧め致します。
ただ、原因が特定出来ない段階での電源ユニットの購入は、電源ユニット側の問題ではなかった場合に問題の改善に至らない可能性もございます。本来的には電源ユニットを購入頂く前に電源ユニット自体の動作確認を販売店様もしくはメーカー様にご依頼頂く事をお勧めします。
- Q3.マザーボードのBIOSバージョンが知りたいのですが、起動しないため確認することが出来ません。何か方法はありますか?
- ユニティ取り扱い製品の場合にはお手元の製品の出荷時期が確認出来ますので、弊社にお問い合わせ下さい。
BIOSバージョンを、ある程度ですが、推測することが可能です。なお、並行輸入品や他代理店様の製品など、弊社以外の取り扱い製品については弊社では把握しておりませんのでご案内ができません。この点はご容赦下さい。
- Q4.手元のマザーボードで動作するCPUを確認したいのですが、動作可能なCPUの一覧表のようなものはありますか?
- メーカーサイトにて公開しております。以下のURLをご参照ください。
ASUS CPU Support List;
http://www.asus.com/support/cpu_support
上部の"CPUで検索 :"という欄のプルダウンメニューからマザーボー ド、ソケットタイプ、製品名と選択頂く事で、マザーボードの対応 CPU・BIOSバージョンを確認することができます。