QNAP NAS導入事例 清川株式会社

関連メーカー:QNAP 正規代理店

https://kiyokawa-kk.co.jp/

取材日:2024年3月18日
業界:卸売、小売

清川株式会社は1950年に当時、紳士服最大生産地の大阪市中央区にて服飾資材商として創業いたしました。
2020年に創立70周年を迎え、その間、生活の基本である"衣"の分野で服飾資材、アパレル製品を通じて社会に貢献してまいりました。早くから繊維製品の海外縫製化を予測し、現在日本をはじめ、中国、ベトナムを中心とするアジアに数多くの拠点を有しております。服飾資材に加え、鞄・健康機能製品、そして雑貨に至るまで幅広く取り扱い、生産、販売に加え、多国間貿易を行い、より良い商品をスピード感を持ってお届けしています。

「QNAP製NAS」の優れていると思った点は
安定性と洗練されたUI、それに尽きます。

取材協力

清川株式会社様土生真士様

導入前の課題

  • 電帳法の各種データを保存するにあたり法要件を満たすファイルサーバーを探していた。

導入メリット

  • 経理が今まで一手に担っていて負担になっていたので、そこが分散できるようになり、時間的に効率が良くなった。
  • タイムスタンプやクラウドなどで処理してしまうと、そこからルールを動かせなくなってしまうが、ファイルサーバーだと柔軟に対応できるので使い勝手が圧倒的に良くなった。

導入の背景

なぜQNAP製NASの導入が
必要だったのですか?

2024年1月1日から完全義務化された電子帳簿保存法の改正法(以下、電帳法)の対応策について1年ほど前から検討しておりました。電帳法の対応にはタイムスタンプを付けたり、クラウドを利用したりと色々な方法があると思いますが、当社では柔軟性を考えて、ファイルサーバーを使って処理したほうが良いということになりました。そのため電帳法の各種データを保存するにあたり法要件を満たすファイルサーバーを探しておりました。

具体的に比較検討した製品はありますか?

電帳法には改ざん防止策を実施する必要があり、法要件を満たすために当初はワーム【WORM】(Write Once Read Many)※1機能を持つファイルサーバーを探していました。具体的にはQNAP製NASの上位機種やQNAPではない台湾ベンダーのコンシューマー製品にその機能が入っていました。

  1. ワーム【WORM】(Write Once Read Many)は、書き込みは一度だけですが読み取りは何度でも可能な記録方式です。WORMは「ライトワンス」とも呼ばれ、記録メディアのうち、データの書き込みを1度だけ行うことができ、書き込んだデータを削除したり書き換えたりすることはできないタイプのメディアを指します。
会社の入るビル

色々な製品がある中で
なぜQNAP NASを選んだのですか?

Impress Watchに掲載された清水理史さんの記事が参考になりました。

電子帳簿保存法を「前向き」に考えよう!ついに来た「紙の保管」から卒業する日

その記事を拝見して、電帳法の法要件が数年にわたって緩和されてきたことからも、WORM運用にこだわらなくても「QNAP製NAS」の方が現場の実情に即した運用ができるという結論になりました。実際、QNAP製NASの中小企業向けのモデルには、WORM機能はついてないのですが、その代わりになるような機能がたくさんついていました。

清水さんの記事の中でQNAPの「Qsirch」(キューサーチ)という全文検索機能に魅力を感じました。NASに保存したPDFやOfficeファイルの内容をキーワードで検索することができるため、宛先や件名、金額などで、請求書を検索することが簡単にできます。複合要件の検索やPDFの中身のインデックスを検索できるなど、当社にとって非常に都合のいい機能がたくさんついていました。 実際エクスプローラーでも検索できますが、電帳法が要求する複合要件とかファイルの中身の検索などは当社の運用に都合の良いものでした。 総合的に考えてQNAP製NASのほうが当社の実用に適しているということになりました。

エントランスは木のタイルが凹凸になって立体感があり、その手前にロゴと英語表記の会社名の宙に浮く形で設置されている。
清川株式会社エントランス

導入の概要

導入環境を教えてください。

当社は、Windows端末が100台超に加えて、データベースサーバーやアプリケーションサーバーなどの業務用の各種サーバーというクラサバ(クライアントサーバシステム)環境です。

社内に設置されたTS-464の写真。

QNAP NASの優れていると
思った点は何ですか?

安定性と洗練されたUI、それにつきます。

QNAPはNASベンダーとして歴史が長いので、安定性が高いという事が一番優れている点だと思います。電源が落ちてデータが壊れてしまうとか、RAIDが崩壊してそこで終わりという事がLinux系のNASには付き物なので、そもそもそういう事象が少なくなっていれば、安心して使えます。また、UPSの検証機種がとても多い点も地味に感銘を受けました。他社さんだとAPS製は使えてもオムロン製は使えないという事があります。

当社では、Windows系のファイルサーバーも稼働していますが、Windows系のサーバーは、ユーザー設定や権限管理が特に難しいです。でも今回導入したQNAP製NASは、UIがとても分かりやすく、ユーザー設定やアクセス権限の設定・操作がとても簡単でした。セキュリティ設定に関しても既存のWindowsサーバーと比較して余計なビルトインユーザーがいない分、理解しやすかったです。

QNAP製NASは、マニュアルがそれほど多くないので、パッと使って驚かされることが多くあります。QNAPの機能の一つである「Qsirch」(キューサーチ)という全文検索エンジンは、PDFのファイル名と埋め込みテキストにもインデックスを張って検索ができるようになっているようです。テキスト化されていないようなファイルも読んでいる節があります。当社が求めているのは数字絡みで、数字はかなり正確に読み込めるので、それだけでもありがたいです。

当社では、ディスクボリューム設定は全て静的ボリューム(Static)にしております。静的ボリュームにすると、スナップショットが使えなくなるなど不便がありますが、ディスクの構成としては最もシンプルでトラブルの発生時、ボリューム設定に依存した問題を排除でき、復旧しやすいという利点があります。ある意味"古臭い"とも言えますが、そうした設定も好みで選べることには好感が持てます。バックアップに関してはHybrid Backup Sync(HBS3)というアプリがありますので万全です。デフォルトの設定の中には、どうしてもここは変更したいという部分が出てきますので、そういうところを、自社好みにカスタマイズできるのは魅力です。

QNAP製NASの"Qu Log"というツールはファイルの削除監視だけでなく、どのファイルを誰(またはどのPC)が書き込んだかが記録されていますので、実際使ってみて、ファイル名や中身に致命的な不備があった際に、お手軽に追跡ができるという大きなメリットがありました。たいていファイルサーバーにはこういった機能があるのですが、使いにくかったり遅かったりします。でもQNAPのツールは使いやすく動作も快速です。こういった点は専用OSまでラインナップしている専業メーカーの強みだと思います。

QNAP製NASはディスクの台数を好きなだけ搭載できるのも気に入っています。今回導入したTS-464-8G自体はHDDを4台搭載していますが、1・2台目がRAID1構成、3台目が日時バックアップ領域、4台目がRAID1のスペアという構成となっています。自社好みで使えますので、非常に使い勝手がいい汎用サーバーだと思います。

システム概要図

どのように運用されていますか?

電帳法の受領データの長期保管用に利用しています。一般的な中小企業が電帳法対応でファイルを保存するとなると、ファイル名に取引先名、取引年月日、取引金額などを記載して保存しておくということになると思います。ただ各営業にそれを周知徹底しても、実行してもらうのは容易ではありません。年月日の様式を守ってくれない、取引先名を略称で入力する、金額は税別と言っているのに税込になっていると、色々なトラブルが発生します。そこで、当社では一次受付を別のサーバーで設けていて、読み書きできるようにしています。そのサーバーに取引先ごとにフォルダーを作って、各営業担当に各種帳票を保存してもらうようにしています。そのファイルをtreeコマンドを使って、一覧でチェックするようにしています。1回の処理で100~200ぐらいのファイル名を目視で確認し、命名規則に問題が無いかをチェックし、おかしいところがあれば、手動で修正したり、営業に確認したりしています。その後、Windowsのコマンド機能の一つであるPowerShellを使って、データを長期保存用のQNAP製NASに移動させるという処理をしています。最初からQNAP製NASに保存してしまうと、後からファイル名を修正するとなった場合、削除扱いになってしまいますので、一次受付のサーバーを用意しています。PowerShellを使うもう一つの理由は、自分がファイルを保存した時に、受付用のサーバーからQNAP製NASにデータをコピーするときに、フォルダー構造を壊さないようにすることができるからです。自分が作ったフォルダー構造をそのまま残しておいて、フォルダーの中身のファイルだけをQNAP製NASに移動させることができるので、次にまた同じようなファイルが出てきたときに同じところに保存でき、使い勝手が非常にいいです。

余裕がなければ受付サーバーと保管サーバーを1つにまとめてしまうのもありだと思いますが、当社ではセキュリティ上、分離しています。できるだけ一般ユーザーには、長期保存用のQNAP製NASのフォルダーにアクセスさせないようにしています。もちろんQNAP製NASの帳票関係のフォルダーへのアクセス権限をもつ営業担当もいますが、あくまでも閲覧権限だけを与えて、ファイルを改変できないようにしています。実際に、書込みや削除が行えるのはtreeコマンドを発行する端末だけにしています。こうしておけば、最悪、他の端末がウイルス感染しても書込み権限がないのでトラブルを避けられます。まだ使っていませんが、QNAP製NASには、クラウドにもデータをバックアップする機能を持っていますので、その機能は将来的に使っていきたいと思っています。

今までもPDFで請求書や納品書を受領していましたが、電帳法の対応において、そうしたファイルをどこに保存するかを変えただけです。実際によく使う営業担当には、デスクトップに受付用のファイルサーバーのショートカットを作成していますので、そこにファイルを保存するだけです。

電帳法の要件の中に可視性の確保というのがあるのですが、複合要件の検索となると取引先名や金額情報などをファイル名に転記しなくてはなりません。それを厳格に運用すると現場のメンバーに負荷がかかって、運用が難しくなります。でもQNAP製NASでは、PDFの埋め込みテキストも検索対象になるので、ファイル名の一部が欠落していても、「Qsirch」(キューサーチ)の全文検索機能で可視性の確保が可能となります。

実際の使い心地はいかがですか?

現在、使用している個別部門用の他社製ファイルサーバーの中には、10年以上前のものもありますが、UIの応答速度がとても遅く、管理業務上の負担となっておりました。管理コンソールにログオンするだけで2分もかかり、そこからの画面遷移も1分以上かかるので、ストレスを感じていましたが、QNAP製NASではとにかく速く、サクサク動いているので、とても驚きました。ファイルが数千個も入っていますが、「Qsirch」の検索も全然スピードが落ちません。

細かい大量のファイルで参照・比較・書込みを続けていくとだんだん遅くなっていくNASもありますがQNAP製NASでは今のところそう言った遅延は出てきてないです。TS-464-8Gは、CPUがインテル® Celeron® プロセッサー N5095で8Gのメモリーを搭載しています。スペック的には普通のファイルサーバーだと思いますが、ファイルが数千個も入っていても、「Qsirch」の検索でも全然スピードが落ちずに検索できるのは驚きです。おそらくOSのチューニングが良いのだと思います。それは使っていて心強いですし、QNAP製NASの最大の魅力だと感じます。

土生真士様

導入後の効果

QNAP NASを導入して
どんな効果がありましたか?

電帳法の電子帳票の受領の受付は今まですべて経理が行っていましたので、そこをシステム部門が肩代わりできるようになった点は大きいです。といっても実質的にはtreeのコマンドを送って、ファイルの名前がおかしくないかを確認して、PowerShellでデータを移動させるだけです。経理が今まで一手に担っていて負担になっていましたので、そこが分散できるようになり、時間的に効率が良くなったと思います。ファイルを一か所にまとめておくようになったので、他の人のファイルも見るようになって、営業担当も受付の段階で間違いを修正してくれるようになり、こちらでの修正作業も減ったと思います。

電帳法の対応に関しては、まずできるところから実施していくというのが、ファイルサーバーを導入する最大のメリットだと思います。内規を設けるのも少しずつ行っていき、実際に税務署さんとお話しして、随時、運用の調整を図っています。これを最初からタイムスタンプやクラウドなどで処理してしまうと、ファイル名や保存先をガチガチに決めて、そこからルールを動かせなくなってしまいます。ガチガチにやるメリットはあると思いますが、そこに従業員の負荷がどれだけあるかが考えられていないことが多々あります。その点、ファイルサーバーだと柔軟に対応できるので使い勝手が圧倒的に良くなります。

将来の展望

今後、メーカーまたは当社に期待することはありますか?

QNAPさんにはワーム【WORM】(Write Once Read Many)の機能を低価格の製品ラインナップにも入れていただけると非常にありがたいです。今はエンタープライズの製品ラインナップ(OSがQuTS hero)にしか搭載されていません。今回はQsirch(キューサーチ)という検索機能のほうが利便性が高く代行できたのですが、WORMもあると便利な機能ですので、それが選択できるようになると、SMBの用途にも大きな売りになると思います。
あと、ログの機能についてですが、″削除″など個別のアクションの種類によってフィルタ通知をメールで受けるというような、ユーザーの行動に対するアクションを組む時に、"Qu Log"と"通知センター"という2つの機能を行き来しないといけなかったのが少しわかりにくかったです。ログ周りは1画面でできるようになるか、設定事例集などがあるといいかもしれません。

テックウインド:貴重なご意見ありがとうございます。QNAPに情報をエスカレーションさせていただきます。

テックウインドさんに関しては、良い製品を出していただいているのでもう少し細かい情報が欲しいです。テックウインドさんの以前のWebの商品紹介ではディスクバンドル版ではWestern Digital製のWD RedのHDDを採用しているとありましたが、WD Redだけではディスクの書き込み方式がCMRかSMRかはわかりません。アプライアンスとしてとらえたときに多少詳しい方であれば一番気にされる部分ですので可能であればぜひ積極的に開示していただければありかたいです。ちなみに入っていたのはちゃんとサーバー向けのCMRでした。

テックウインド:貴重なご意見ありがとうございました。今後改善を図ってまいります。

どのように使っていきたいですか?

Qfiling(キューファイリング)というファイル整理アプリは面白そうだと思います。それを使うと、JPEGファイルを自動で圧縮することができます。社内のデータの中には展示会で撮ってきた4Kサイズの写真が生データのまま大量にファイルサーバーにアップされています。これがファイルサーバーの容量を圧迫する一因になっていますが、データは消せないので、対応に困ってしまいます。でもアップロードしたら自動でファイルを圧縮してくれるというのは、夢のような機能なので、ぜひ使ってみたいと思います。

清川株式会社の商談ルーム
商談ルームには、たくさんのスーツや生地のサンプルが展示されている。

導入製品とサービス

4ベイNAS TS-464-8G HDD組込みモデル

インテル® Celeron® プロセッサー N5095搭載、2つの2.5GbE RJ45ポートおよびポートトランキング対応で、最大5Gbpsの結合帯域幅を実現します。

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WD Red Plus 2TB(WD20EFPX)×4台

最大8ベイのNASシステム向けに設計されたHDD。アーカイブや共有に加え、ZFSやその他のファイルシステムを使用するシステムでのRAIDアレイの再構築にも最適です。

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