Wシリーズ ハイエンドフラッグシップ「Westone W80」レビュー <岩井 喬氏>

2017年08月公開

オーディオライター 岩井 喬氏によるW80レビュー

単発では再生周波数帯域に限界のあるBAドライバーを生かすにはある程度のマルチウェイは致し方ない

昨今、ハイエンドイヤホンの世界はバランスド・アーマチュア(以下、BA)型ドライバーを複数使ったマルチウェイモデルが数多く登場し、そのドライバーの数の多さがスペックの優劣を示すかのような風潮がある。そうした流れとは距離を置き、独自のスタンスで製品づくりを行ってきたのがWestoneであった。しかし、その頑固なまでのスタンスを少し緩めたかのように見えたBAドライバー6基を積む「W60」の登場は、多くのWestoneファンを驚かせたのである。数の多さがすべてではないが、やはり単発では再生周波数帯域に限界のあるBAドライバーを生かすにはある程度のマルチウェイは致し方ないというのがWestoneを含めた古参ブランドの考え方であるようだ。「W60」ではダブルウーファーを採用したスピーカーと同じように、同一規模の複数ユニットで低域をカバーすることでレスポンスを改善するなど、理にかなった設計が取り入れられたのである。そのサウンドもトレンドに寄り添いつつもWestoneならではのスタンスを貫いたトップモデルならではのものであった。


オーディオライター 岩井 喬氏

ピアノやホーンセクション、シンバルなど、高域に特徴を持つ楽器の描き分けやきめの細かい表現力、音ヌケの良さも両立している

そして今回登場した「W80」では高域へさらに2基追加した8ドライバー構成を採用。しかし本体のサイズは大きく変化はなく、コンパクトさを維持しつつより多くのドライバーを積んだ構成に驚かされた。調和性に主眼を置いたというサウンドチューニングとなっているようであるが、高域に合計4基のドライバーを設けることでより透明度の高い、澄んだ高音域の再現性を獲得。ピアノやホーンセクション、シンバルなど、高域に特徴を持つ楽器の描き分けやきめの細かい表現力、音ヌケの良さも両立している。

緻密なディティール感の再現性もモニター機並みのパフォーマンスを持っており、「W60」では味わえなかったリアルな音空間が展開

「W60」を含め、従来のWシリーズはニュートラル基調の純然たるモニター系の音色を持つUMシリーズとは少し距離を置き、低域志向のトレンド寄りなサウンドバランスを持っている印象であった。しかしこの「W80」はそうした流れとは違う、リアルさにベクトルを向けた、リファレンス的なサウンド性を獲得しているようだ。押し出しの豊かさだけでない、ディティールの滑らかさや、余韻の伸びやかさといった細やかな描写もきちんとこなすオールラウンダーとしての性格も持っており、オーケストラの管弦楽器のハーモニーも粒立ち細かく爽やかに表現。ヴォーカルの自然なボディの厚みと落ち着き良いニュアンスの描写性も見事だ。ホールの温かみある残響感など、空間性の的確な表現に加え、ピアノのワイドレンジなハーモニクス、アコギのボディのしなるさまなど、緻密なディティール感の再現性もモニター機並みのパフォーマンスを持っており、「W60」では味わえなかったリアルな音空間が展開。しかし多くのモニター機が持つドライで素っ気ない音質とは無縁であり、ローエンドのファットな密度感をはじめとした熱量のあるグルーヴ感は、ポップス&ロックのノリの良さも余すところなく描き切る。

音楽の楽しさ、華やかさを味わうには「Westone by ALOプレミアムケーブル」を活用すると良いだろう。

付属する「Westone by ALOプレミアムケーブル」に交換すると中高域の音ヌケがさらに良くなり、よりノリの良いサウンドに生まれ変わる。メリハリ良い倍音の煌き感が加わることで、よりポピュラーな音質バランスとなるようだ。ウッドベースの胴鳴りも艶ハリ良く引き締まる。ヴォーカルは艶良くウェットな口元のエッジが際立ち、余韻の収束も早い。管弦楽器の旋律もキラキラとした高域の輝きが耳馴染み良く、艶良く滑らかな響きがより強まる。音楽の楽しさ、華やかさを味わうには「Westone by ALOプレミアムケーブル」を活用すると良いだろう。

音楽の本質をきちんと表現しつつ、リッチなサウンドを楽しむことができる、普段聴き用として最良のプレミアムモデルといえるだろう。

Westoneユニバーサル機のフラッグシップとして誕生した「W80」は、新たなWシリーズの姿をも提示しているかのようである。トレンドだけではない、よりWestoneが理想とするサウンドバランスをも獲得した、まさにリファレンスと呼べる完成度を持つ。純然たるモニターモデルとは一味違うが、音楽の本質をきちんと表現しつつ、リッチなサウンドを楽しむことができる、普段聴き用として最良のプレミアムモデルといえるだろう。

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