「Westone Astell&Kern 用バランス極細ケーブル」レビュー <岩井 喬氏>

2015年05月公開

オーディオライター 岩井 喬氏によるWestone Astell&Kern用バランス極細ケーブルレビュー

Westone極細ケーブル(アンバランス)でのインプレッション

ULTRA-THIN Balanced Cableのリリースに当たり、AK120ⅡにES60とULTRA-THIN極細ケーブルを用いたシングルエンド接続と新製品であるBalanced Cableに交換したバランス駆動でのサウンドがどのように違うのか、まずはその比較から試すことにした。 ES60はBA型ドライバーを高域、中域、低域に2基ずつ搭載した構成だが、必要にして十分なレンジ感と密度感、自然でピーク感のない滑らかなサウンド性が特徴となっている。低域ドライバーを2基構成としたことで、昨今スピーカーの分野でも多いダブルウーファー搭載モデルと同じく、大口径のウーファーを1発鳴らすより、小口径のウーファー2発で駆動させることで低域の過渡特性を向上させ、レスポンスの良いベースサウンドを得ることができるようになった。その結果5ドライバー搭載モデルと比較し、低域方向の見通しや解像感、輪郭表現が改善され、より欠点のないパーフェクトなサウンドを獲得している。

岩井さんカスタム

この基本的な傾向はAK120Ⅱでの再生時にも十分実感できるが、シングルエンド接続でのサウンドとしては全体的に素直で落ち着きある傾向である一方、マイルドで中低域方向に甘さも感じられた。ゆえにオーケストラのハーモニーはウォームな音色を響かせてくれるので耳馴染みも良いのだが、より正確さやニュートラルさを求めると今一歩という印象を受ける。ヴォーカルは肉付きを適度に持たせつつ、口元のハリも爽やかに描く。エレキギターのボトム感も厚く、ディストーションの音色にもコシがある。音像は厚くどっしりとした存在感を放っており、全体的に高密度なサウンドといえるだろう。

Westone Astell&Kern用バランス極細ケーブルでのインプレッション

ここでULTRA-THIN Balanced Cableと交換し、AK120Ⅱもバランス駆動モードに切り替えて試聴を続けたが、その音の出た瞬間に感じたのは音像の丁寧な描写力と低域方向の解像度の高さ、輪郭のフォーカスといった点が改善され、よりリアルなサウンドに進化したという明確な差だ。ベースは引き締まり良く、音場のS/Nも向上している。リズム隊のアタックもよりスピード感が増し、緻密で正確なビートを刻む。質感表現もスムーズで、ヴォーカルの自然な際立ち感と口元の潤いの表現も生々しい。オーケストラの楽器構成は一つ一つ見えてくるようで、ハーモニーの分解能も高まった。シングルエンド接続の際に感じた中低域の甘い表現は完全に払しょくされ、音のアタックやリリースを正確に表現する、まさにモニターライクな方向性のサウンドへ進化を遂げた。密度感や音の素直さはそのまま活かされているので、癖のないES60本来の持ち味もきちんと引き出しつつ、高解像度で付帯感のない理想のイヤーモニターとしてヒアリングにより集中できることだろう。

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